相続人が海外に居住している場合の遺産分割と相続手続き | 豊中遺産相続サポートオフィス
相続人の中に海外居住者がいる場合でも、相続手続きの流れに大きな違いはありません。
ただし、相続手続には必ず相続人の実印と印鑑証明書が必要になります。日本に住所登録をしておらず海外に居住している相続人には、印鑑証明書が発行されません。
そこで、海外居住者の為に日本での印鑑証明書に代わるものとして、本人の署名及び拇印であることを証明する署名証明書(サイン証明書)を現地の日本領事館等で発行してもらいます。
また、遺産分割協議の結果として不動産を相続する場合は住民票も必要になりますが、海外在住の場合は住民票という制度がない国が大半です。
そのため、住民票に代わる在留証明書の発行が必要になります。
在留証明書を受けるには、以下の要件が必要となります。
・日本国籍を有している。
・現地で既に3か月以上滞在し、住所が公文書などで明らかになっている。
・発行手数料を現地通貨で支払う。
なお、在留証明書の申請方法・手数料・必要書類など詳細については、証明を受けようとする在外公館に直接お問合わせください。
※被相続人(亡くなった方)が海外に在住していた場合の手続きについてはこちら↓↓
・外国籍に帰化した方が亡くなった際の相続>> ・日本と米国の二重国籍で亡くなった方の相続>>
当事務所に寄せられた相談事例その①
依頼者の状況
被相続人は依頼人の夫でした。
箕面市にある亡夫名義の自宅不動産を依頼人名義に変更しておきたいというご依頼で、法定相続人は依頼人である妻と子が3人でした。
当事務所のサポート内容と顛末
子のうち、ひとりがオーストラリアに在住していたため、当方にて遺産分割協議書を作成のうえ、領事館にてサイン証明の交付を受けるよう依頼し、無事に名義変更を終えました。
当事務所に寄せられた相談事例その②
相談者の状況
海外セミナーにご参加くださった方からご相談をいただきました。
年老いた母がひとり、日本国内の介護施設で暮らしています。
兄弟は姉が日本国内にいますが、母の面倒を見ることもなく、お金に困ったときだけ母の所にお金の無心に来るような状態で、母もあきれ果てておりました。
母は遺産の全てを相談者に相続させたいと考えていますが、相談者自身は海外に生活の本拠があるため、もしものときの対応やその後の手続について、どうすればよいか途方に暮れていました。
当事務所のサポート内容と顛末
まず、相続時への対応として、相談者へ全てを相続させるとする遺言公正証書を作成しました。
姉の遺留分の検討も行いましたが、姉へは遺留分を超える生前贈与(特別受益)があり、それらを証明することもできるとのことだったので、当初の予定どおりの内容としました。
また、遺言執行者として当事務所が有する一般社団法人を指定しました。
海外で暮らす相談者に代わり、万が一のときは当事務所にて一切の手続を行えるよう準備しました。
遺言に加え、母が将来、認知症等により判断能力が衰えて適切な財産管理ができなくなったときのために備え、母と当一般社団法人との間で任意後見契約も締結しました。
司法書士からのコメント
相続人が海外で暮らしている場合、日本国内での手続をご本人で行うのは大変な負担になります。
また、遺産分割に必要な相続人間の利益調整も、地理的な問題や意識の差もあって、なかなかうまく進まないというのが実情です。
その点、遺言を作成して、遺言執行者を専門家に指定することで、格段に手続が楽になります。
それに加え、本件のように、ご本人の判断能力の衰えにより、ご本人の財産が親族の使い込みや第三者による詐欺に遭う危険性がある場合、任意後見契約の活用なども検討すべきでしょう。
こうした包括的なコンサルティングは、司法書士の最も得意とするところです。
同時に、当事務所では不動産仲介業の登録も行っており、不動産の処分等に関するご相談にも応ずることができます。
また、CFP(上級ファイナンシャルプランナー)としての知識を活かした幅広いご相談にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。